ペリー来航の海・浦賀へ。海の史跡を訪ねます。
こんにちは、悠帆堂です。今回は、少し以前のことになってしまうのですが、神奈川県横須賀市にある「浦賀レンガドック(浦賀船渠跡)」を見学してきましたので、そのときのお話です。
浦賀は、幕末にペリーが来航した地として名前はよく知られていますね。浦賀湾は、三浦半島の東端、東京湾の入口といった場所にあるあまり大きくはない入り江です。
この浦賀湾の奥に、1897(明治32)年創設の造船会社が建造したのが「浦賀レンガドック」。2003(平成15)年に閉鎖されるまで約1世紀の間に1,000隻を超える船を建造・修理してきました。



いつもは“なんとなく”ですが、今回は予約が必要でした。
それでは行ってみましょうか。京浜急行「浦賀」駅から徒歩10分ちょっとでしょうか。集合場所へ向かいました。というのも、「浦賀レンガドック」は勝手に入ることができず、事前にガイドツアーへの予約が必要なのです。行ってみると20人ぐらいの方々が集まっていて、2班に分かれての見学でした。

広々とした場内に入るとまず目を惹くのは古いクレーン。「昭和20年6月」の表記があります。

そして見下ろすと、そこには巨大なドックが広がっていました。けっこう生々しいままの「史跡」という感じです。横浜の「ランドマークプラザ」にある「ドックヤードガーデン」のように整備された施設とはまったく違った趣きで、「確かに勝手に入って歩きまわっちゃ危ないよな」と納得します。

長さが約180m、幅が約20m。約215万個のレンガが使われているそうです。
日本で唯一残されたレンガ造りドライドック。
「浦賀レンガドック」はいわゆる“ドライドック”と呼ばれる施設です。船を入れてからフラップゲートを閉じてプールのような状態にしたところでドック内の海水を抜きます。すると、陸に上げたのと同じ状態で修理やメンテナンスなどの作業ができるという仕掛けです。レンガ造りのものは日本ではここだけしか現存していないそうです。

これが海とドッグの仕切りになるフラップゲートの上で、通路の右側がドック、左側にはすぐそこに海面が迫っています。


深さ約11mのドックの底まで、壁面に設置された階段で降りることができます。並んでいるのは「盤木(ばんぎ)」と呼ばれる土台で、海水を抜くとこの上に船底が乗っかることになります。基壇部分はコンクリートですが上部は木材で、これがクッションになるんですね。




郷土資料館で出会った幕末の人生。
ドックを見学した後は、ガイドさんの引率でそこから数分の場所にある「浦賀コミュニティセンター分館(郷土資料館)」に移動しました。浦賀には、海の玄関口として奉行所が置かれていた歴史があり、館内には奉行所などに関する資料が展示されています。ここでわたしは浦賀奉行所の与力であった中島三郎助という人物を初めて知りました。

1821(文政4)年に生まれた中島三郎助は、14歳で浦賀奉行所の与力見習いになります。砲術に長けていた人物で、アメリカの商船・モリソン号に砲撃を加えた功績で奉行から太刀一振りを与えられています。ペリー来航時、最初に交渉にあたった一人でもありました。大型軍艦の必要性を訴えたり、日本初の洋式軍艦・鳳凰丸の建造に携わったりと有能なお役人だったのですが、戊辰戦争の際に二人の息子さんや浦賀の同志とともに函館に渡り、残念ながら五稜郭前の砲台で亡くなりました。

後に浦賀に造船所が生まれるきっかけにもなった人物でもあり、その人生をたどることがそのまま幕末・維新の浦賀の歴史をたどることになるような人です。が、恥ずかしながら、私はここを訪れるまで中島三郎助を知りませんでした。激動の時代の陰には、全国区の著名人とはまた違った“普通の人々”がたくさんいたのでしょう。このようなことを言っては地元の方に失礼かもしれませんが、現代の浦賀界隈は豊かな魅力をたたえながら、かといって賑やかな観光地という感じでもなく、落ち着いた生活感のある静かな港町です。そんな町の姿と中島三郎助という人物はどことなく重なりあう気がしました。
夏季はお休み、秋からの再開に期待。ネットで予約できます。
最後に「浦賀レンガドック」見学の手順をご紹介しておきます。窓口になっているのは「NPO法人横須賀シティガイド協会」。こちらのホームページに行くと、予約フォームがあります。現地集合で参加費(500円)は現地にいらっしゃる係の方にお支払いします。
と、ここまで書いてきて、ちょっと残念なお知らせ。同協会のホームページによると、
・企画ガイドツアー、依頼ガイドツアー、浦賀レンガドックツアー、ヴェルニー公園ガイドツアーについて安全を最優先に検討した結果、熱中症などの健康リスクが高まる恐れがあるため、7,8月のツアーは「休止」とさせて頂きます。
とのこと。けれど、9月からは再開するようですので、迷ったのですがこの記事をアップさせていただくことにします。興味を持たれた方はホームページをブックマークしておいてはいかがでしょう。
気ままなぶらぶら歩きが好きな方には、予約が必要なのか…とか、ガイドさんが同伴するのちょっと億劫だな⋯と思われる方もいるかもしれないのですが、ちゃんと説明してくださる方がいらっしゃるのもよいものだなあ、と思った悠帆堂でした。



■浦賀レンガドック(浦賀船渠跡)
●所在地/神奈川県横須賀市浦賀4丁目7−1
●アクセス/京急本線「浦賀」駅から徒歩12分、または京浜急行バス「ドック前」下車
●営業時間/予約制(09:30集合、11:20解散) 毎月第1・第3日曜日・少雨催行
〈ご注意:夏季は熱中症防止のため休止です〉
●URL/https://yokosuka.kankoh-guide.com/ ※サイト内に予約フォームへのリンクがあります
■浦賀コミュニティセンター分館(郷土資料館)
●所在地/神奈川県横須賀市浦賀7-2-1
●開館時間/8:30~21:00(展示室は17:00まで)
●URL/https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2752/sisetu/fc00000087.html

